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四十ノ課題後書き


09.倒錯

■??? [作者:ユズリ葉/05.02.03]

「口付け」にしようか、迷った話。「口付け」の方は別カプで予定していたので、「倒錯」に収まりました。何がきっかけで思いついたか忘れましたが、化粧を施す弥勒っていうのもまた良いかなぁ〜と。
面に向かう姿勢が真剣そのものなのは分かっているわけで、その真剣な眼差しを自分に向けられたら「そりゃ〜ドキドキじゃない?」みたいなコンセプト。コンセプトついでにこの二人はプラトニックなので、たまには色っぽい話を…と、こうした話しになったんですが…如何だったでしょうか?
ちょっと弥勒さん書くの久しぶりだったので…似非臭く感じたらすいません;一人でも多くの人に楽しんで頂けたら幸いです。…って事で、またッ! (ユズリ葉)

男の人に化粧を施されるという設定に、冒頭からドキドキとしてしまいました。自分を彩らんとする繊細な筆さばき…ましてや自分の恋人が真剣な面持ちで肌をかすめるソレは、確かに愛撫という言葉に置き換えても良い位の色気を感じさせますね。
と、シチュエーションはどこまでも甘やかなんだけれども、そこはそこ、職人気質をもしっかりとにじませる弥勒さんと、瞳を閉じれば息遣いを、かといって開けば自分を見つめる視線を浴び、とまどいと恥じらいを感じる真ちゃん、この二人のラブラブな話、また楽しみにしてますね。(杏 花奈)


12.首

■京梧×女主 [作者:ユズリ葉/05.12.09]

この話しは、私の中での京梧さんの恋愛観を詰め込んだ話になっています。京梧さんって、例え女主ちゃんと通じ合っていても、決して自分のスタンスを崩すタイプじゃないと思うんですよ。恋愛するのも良いけど、やっぱり一番は剣っていう人かなぁ〜と。そうなると、この話みたいに両思いなのに…って、何処か満たされない思いをずっと抱えていくのかなぁ〜って、思いまして…それなら殺すしかないな、と(笑)『狂愛』系の愛ですが、私にしてはこうしてはっきりと何度も『愛している』と呟く女主も珍しいなぁ〜と思いつつな一作でした。楽しんで頂けたらなら、幸いです。(ユズリ葉)

京梧さんはおっしゃるように、まずは自分の道=「剣」ありきの人のように感じますね。ええ、少なくともあの置いてけぼりEDを見る限り(一緒に中国にまで連れて行ってくれる子孫とは雲泥の差…/泣)
ただ、時代が時代というのか、彼の選ぶ「剣」の道は生と死が隣り合わせ。彼女を心から愛するがゆえに、自らの歩む道へと導きたくはなかったんじゃないかと、京梧さん擁護発言を一つ。
…いや、こんな事私がわざわざ書かなくても、多分女主ちゃんは判ってますね。判っていてもなお求めてやまない彼女の狂おしい程の愛に心をうたれました。(杏 花奈)


13.白装束

■天戒×女主 [作者:陸 風音/04.10.19]

突然、天から降って出てきたネタでございます。
ネタの神様ありがとう!と言いたい位に一度考え出してみればスラスラと書けた作品です。
死にネタは既に書いたことがありますが、既に主人公が死んでいるっていうのは書いたことがなくて自分的に新鮮でした。
この話の天戒様と主人公は想いが通じ合ったばかりでした。
これから色々なものを見て、感じて…その先にあるのは色づいた未来だと信じて疑わなかった、そう思うんです。
だけど、無情にも奪われてしまった誰よりも愛しい人の命。
生ある者は決して踏み込むことの出来ない領域へと行ってしまった彼女を見て、彼はどう思うのか…。
そういうのが書きたかったんです。
後味がなんとも悪い作品ですが、書きたいことが書けて私は満足です。(陸 風音)

共に生きると誓ったはずなのに、彼を置いて一人旅立ってしまった彼女と、彼女を連れ去ってしまった"死"という存在に対する、天戒様の想いがこの作品の中に凝縮されています。
人前で泣き崩れる事など許されない立場。やり場の無いその想いはいつしか怒りへと転じ、歪んだ愛ゆえの行為、けれども我に返った彼の双眸からは熱い涙が流れ落ち、ここでようやく彼は彼女の死を自分の中に受け止める事が出来た――――と、流れるような天戒様の心理描写は見事としか言いようが無く、さすがに当代きっての天戒女主作家様と常日頃から敬愛申し上げている方だなぁとうっとり。

後味が…とおっしゃってますが、私には彼女の死を乗り越えようと一歩踏み出した天戒様に、男らしい清々しさを感じられました。(杏 花奈)


15.死屍

■??? [作者:ユズリ葉/04.01.18]

何時からか頭の中にあったシーンを文章に変えてみました。最初頭に入ったのは私が見た夢だったのか何なのかよく覚えていませんが、実はこの後もそのシーンは続きます。
死体に気付いた“自分”は最初死体を恐ろしく思うけど、他にモノがないことを分かっているから怖さをおして何度も何度も確かめに行く。
確かめては元の場所に戻り、その死体のことを考える。暗闇だから時間の感覚も狂っていて…あの死体が何時か朽ちていく、腐っていくことを怖がり次に行くときはぐちゃぐちゃなのかもしれない…という恐怖に苛まれる。でも確認しないとそれすら分からないから…と何度も何度も見に行っては安心し、次には…と不安に思う。
…っていう話。悪夢の一つなのかな?…と、反対に腹を括り、『黒和モノ』らしくダークさを目指した話でした。
尚、この続き『26.試練』を読むとこの状況の答えが分かるようになっております。
そちらも宜しく。 (ユズリ葉)

何とも不思議な作品。自分が今どういう状況に置かれているのか…、いや自分が何者かすらもはっきりと認識できずに戸惑う作中の人物の心理は、そっくり読み手である私の心理状態でもありますね。

闇に埋もれた真相を手繰り寄せる…それは人をより深く傷つける行為になることもしばしばで。けれども知らずにはいられない、知りたいと思ってしまう人特有の業をも感じてしまい…良い意味で色々と考えさせられる作品です。 (杏 花奈)
出だし数行を読むだけで、そこにいる人物が感じている(だろう)閉塞感を物凄く感じました。その人物が自分の状況を確認するたびに浮かび上がるイメージが凄くリアルな感覚で私を支配するというか・・・なんとも言いがたい雰囲気に飲み込まれそうになりました。風も流れ込んでこない静かな空間でピチャリという水音とかね。
後味の悪さがとっても気に入った作品です。 (陸 風音)


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